◻︎
踊ってばかりいたいけどそうもいかない国
馬鹿騒ぎと過労死の橋渡り
大きい声と小さい声、ニュースのパワーバランス
無感情のタメ口と引きつり気味の敬語
腕時計をする間は時間は無視しよう
あなたになって見た世界はどんな色
「夢がある」なのに逆さ吊りの腹の中
秋の匂い詰め放題 冬の景色眺め放題
半袖の重ね着 汚れたワークボトムス
窓の向こうの温度が曖昧だ
エスカレータ 待ち焦がれる球児
死んでも止まらない時間のリズム
ケタケタと笑って鍋を煮ている
早稲田のあのライブハウスの前にあるあのタバコ屋
コインパーキングの料金の延びに注意喚起していた
「アテンションプリーズ、飛び込むのはまだ早いよ」
○
半径5mで感じる秋
湿度が高く次第に強まる雨
休日の入り口
まだかまだかと迎えを請う
ディスコに合わせて歩幅を整えた
ミラーボールは微笑む様だよ
鳥は風に、優しく揺らされている
ここには喜びも幸福もある
時間をいつまでも繋いでいく
終わることなく増幅させていく
△
アートシアターの夜明け前
ネズミを追ってこんなところまで来てしまった
飯につられるとどうにもかなわん
ここは何という町なのか
潮の匂いが微かにする
道が凸凹で歩きづらいったらないな
ジメジメとして嫌な空気だ
あのネズミがあんなに逃げ足が速いとはな
仕方ない、暫し夜明けまで眠るとするか
△
床上1.5メートルを残して水中
ベッドに寝転べば目先には魚が泳いでいる
1滴も落ちることなく緩やかに水面は揺れている
何を思っているのか想像もつかない
深呼吸、吐くと波打つ天井水槽
重力を無視して、常識も世間体も無視して
夢のような夢の中