○
水も滴るいい袋
絞め金でゆっくりと絞められる脳
黒ひげ危機一発のように遊ばれている心臓だ
痛み止めを粉々にして水で流し込む
美味しいコーヒーを2つ。あなたと私へ
「蝸牛」というタイトルの大好きな歌
バンドであることが一番だと思わせるような歌
いくらBcc:に入れたって見透かされてしまう心の底
生き物を愛でる君が好きだよ。
いつもと同じ夜をいつもと違う服で走る60km/h
音楽を好きでよかったと思う瞬間がある
音楽を好きでいなければよかったと思う日がある
気持ちいいフィルインを滑らかに叩けた17才
何万本もの光の線が頭の中を駆け巡る
"目的が違うご乗車はおやめください"
ヒトと同じ生活を送る駅構内ハト後悔
尽く見破られるお土産の中身
大きい音で聴くと判るリフがあるように、大きい声で聴くと解る大切な話もある
軒先に撒かれる打ち水の様な雨に残暑の終わりを見た
ポケットに手を入れるのが癖。
髪を掻き分けるのが癖。
LEDと鉄骨のシンメトリー/不自然な窓と障がい者を譲る心
15cmの隙間が埋めるアノ世とコノ世の空白
人生のBPMは200→100→140→180→150→100→200
丁寧な時間を過ごす、穏やかな水中を泳ぐ
豊かな心と少しの静寂と強かな勇気
鈍い音の変拍子と共に55km/h
△
時と場合によって消えたり増えたり
人工空調により、揺れるプラスティック
雨が降れば穏やかに笑う歌がある
頭上から降り注ぐ雨と共に現れた黒い傘
リバーブのかかったスネアが跳ねる、白い粉
私や人々に構わず勝手に平常を保とうと進んだり止まったり
始発から終点までの数を数えて、やがて眠る
コンクリートと鉄、樹脂、ゴムの境目を目でなぞっていた
牛乳と煙草を袋に詰められ、振り歩くよ
夏の音楽を散々聴いて、冬の音楽を散々聴いていく
水を飲むように、息をするように、散々聴いていく
人が歩けば立てた板が壊れそうに揺れる
風が吹けば冷気と髪が振れた
眠る森は濃霧注意報いつまでも
夢の泡がどこまでも湧いていく
ずぶ濡れの雨を檻に例えたことにハッとした
走り抜けるように四分三十秒が過ぎてしまう
微睡みを踊る黒い服の物質
無音のまま花瓶が割れる
音の粒が線になり面になり、面積が体積に変わった
かき消し合うライカ戦争の緑色
空虚に押された背中で乗り込む電車。終末。
◻︎
踊ってばかりいたいけどそうもいかない国
馬鹿騒ぎと過労死の橋渡り
大きい声と小さい声、ニュースのパワーバランス
無感情のタメ口と引きつり気味の敬語
腕時計をする間は時間は無視しよう
あなたになって見た世界はどんな色
「夢がある」なのに逆さ吊りの腹の中
秋の匂い詰め放題 冬の景色眺め放題
半袖の重ね着 汚れたワークボトムス
窓の向こうの温度が曖昧だ
エスカレータ 待ち焦がれる球児
死んでも止まらない時間のリズム
ケタケタと笑って鍋を煮ている
早稲田のあのライブハウスの前にあるあのタバコ屋
コインパーキングの料金の延びに注意喚起していた
「アテンションプリーズ、飛び込むのはまだ早いよ」
○
半径5mで感じる秋
湿度が高く次第に強まる雨
休日の入り口
まだかまだかと迎えを請う
ディスコに合わせて歩幅を整えた
ミラーボールは微笑む様だよ
鳥は風に、優しく揺らされている
ここには喜びも幸福もある
時間をいつまでも繋いでいく
終わることなく増幅させていく
△
アートシアターの夜明け前
ネズミを追ってこんなところまで来てしまった
飯につられるとどうにもかなわん
ここは何という町なのか
潮の匂いが微かにする
道が凸凹で歩きづらいったらないな
ジメジメとして嫌な空気だ
あのネズミがあんなに逃げ足が速いとはな
仕方ない、暫し夜明けまで眠るとするか